第98回箱根駅伝パフォーマンスランキングTOP10
第98回箱根駅伝の全選手のパフォーマンスを10000Mのタイムに換算して、ランキング化しました。
※10000Mに換算する方法は以下を参照
https://ekidendata.hatenablog.com/entry/2022/03/18/113609
今回はランキングTOP10の紹介です。
10位
吉居大和(中央) 1区1位 1:00:40 区間新
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
吉居大和 | 中央 | 27:51.74 | 27:48.06 |
10位は中央・吉居選手。1区の5km過ぎから飛び出し10kmを27分台で通過。
そのまま最後まで押し切り、83回大会に東海・佐藤悠基選手がマークした、
空前絶後の「1:01:06」を26秒更新し、MVPを獲得しました。
しかし意外にもこのランキングでは10位。
これはおそらく2位以下の選手も好タイムをマークし、
平均タイムが上がったことで、そこまで抜けたパフォーマンスにはならなかったからだと考えられます。
それでも中央の10年ぶりのシード権獲得の立役者には間違いありません。
8位
ヴィンセント(東京国際) 2区5位 1:07:02
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
ヴィンセント | 東京国際 | 27:24.42 | 27:47.10 |
8位は2人おり、1人目は東京国際・ヴィンセント選手。
ヴィンセント選手の実力を考えると、このパフォーマンスは物足りませんが、
5km過ぎに足を痛めて、走り切れるペースに落としたことを考えると仕方ないです。それでも27分40秒台の力を出していますからね。
8位
松山和希(東洋) 2区5位 1:07:02
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
松山和希 | 東洋 | 28:37.60 | 27:47.10 |
8位、2人目が2区職人の東洋・松山選手です。
出雲欠場、全日本も7区13位と心配されましたが、エグかったですね~。
中盤やや遅れますが、ラスト3kmの坂で上がってきました。
10000Mの持ちタイムが30分台で27分台の実力を出すのはヤバいです(笑)。
ちなみに昨年(97回)も27分台相当のパフォーマンスです。
7位
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
中村唯翔 | 青学 | 28:29.43 | 27:46.87 |
7位は9区区間新の青学・中村選手。
8分台は出ると思っていましたが、まさか7分前半とは…。
10000Mに換算しても27分46秒のパフォーマンスを復路の単独走で出したのはすさまじいです。
今までの駅伝を振り返ると、昨年の箱根(97回)と全日本(53回)は、
周囲の速いペースに巻き込まれて実力を発揮しきれませんでしたが、
一昨年の全日本(52回)と今回の箱根(98回)は、単独走の時は快走しているというデータがありますね。
6位
オニエゴ(山梨学院) 2区4位 1:06:49
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
オニエゴ | 山梨学院 | 27:51.59 | 27:41.72 |
6位はたたき上げ留学生の山梨学院・オニエゴ選手。
序盤から創価・ムルワ選手とガンガン前を追いかけ、6分台をマーク。
トラックでも27分台を出してますから、この結果も驚きではありません。
1年時はレギュラーに入れなかった留学生が、3年時に4区区間賞、4年時に2区で6分台。留学生も「練習するから強くなる」を体現した選手でした。
5位
太田蒼生(青山学院) 3区2位 1:01:00
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
太田蒼生 | 青学 | 28:32.17 | 27:39.57 |
5位は青学の1年生・太田選手。個人的に今大会のMVPです。
早々に東京国際・丹所選手に追いつかれてから、後ろにぴったり張り付き、
残り3kmでスパートしてトップでタスキリレー。タイムも歴代3位。
年間通して安定していましたが、ここまでやるとは…。10000M換算でも27分30秒台です。
原監督の選手起用、さらにそれに応えた太田選手、あっぱれです。
3位
ヴィンセント(国士舘) 2区2位 1:06:41
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
ヴィンセント | 国士館 | 27:25.50 | 27:38.40 |
3位は2人おり、1人目が国士舘・ヴィンセント選手。
ハーフで59分台で走る選手ですので、もう少しいけたかな?
しかし4年連続の2区、一度も外すことなくまとめました。
3位
ムルワ(創価) 2区2位 1:06:41
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
ムルワ | 創価 | 27:35.29 | 27:38.40 |
3位の2人目が創価・ムルワ選手。
今回は後方スタートでしたが、序盤から攻めて区間2位。
昨年は抑えて入って伸びなかったので、反省を活かしましたよね。
なお出雲3区では、10000M換算27分03秒というとんでもないパフォーマンスを見せています。
2位
丹所健(東京国際) 3区1位 1:00:55
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
丹所健 | 東京国際 | 28:19.17 | 27:37.30 |
2位に留学生を抑えて東京国際・丹所選手。
日本人記録を更新して60分台をマークしましたから、この順位も納得ですね。
最後、青学太田選手に置いていかれましたが、あれは太田選手が凄すぎました。
なお丹所選手は今シーズンの駅伝すべてで、10000M換算27分台のパフォーマンスを見せています。
1位
田澤廉(駒澤) 2区1位 1:06:13
選手 | チーム | 持ちタイム | パフォーマンス |
田澤廉 | 駒澤 | 27:23.44 | 27:26.79 |
堂々の1位は2区区間賞の駒澤・田澤選手。
もう学生どころか実業団含めてもトップクラスの選手です。
今回は終盤単独走になり、上がりきりませんでしたが、歴代4位のタイムでした。
東京国際・ヴィンセント選手が本調子であれば、並走してもう少しいけたかな?
最後に
今回は98回箱根駅伝のパフォーマンスランキングTOP10を発表していきました。
やはり2区のランナーが上位にランクインしていますね。
2区は持ちタイムが良い選手が固まるので、そこで好走すれば自然とこのランキングでは上位に入ります。
逆に箱根の看板区間5区は持ちタイムの平均が低いため、余程優れたパフォーマンスをしない限り、
ランキングの性質上、上位には食い込めなくなっています。
次は、1区から区間ごとのパフォーマンスを確認したいと思います。
吉居選手と田澤選手、どっちのほうがすごかった?数字で示してみた
初めまして、24歳のチュンチュケと申します。
小学生のころ、第86回箱根駅伝で明治大学が1区から4区までトップを独走していたのがきっかけで、明治ファンになり、駅伝が好きになりました。
それ以降は10年以上箱根駅伝をはじめ、学生三大駅伝、実業団駅伝、トラック種目など長距離に関するものを追いかけています。
今回ブログを始めたきっかけは、今まで比較できないとされてきた異なる区間の選手比較(例.1区の選手と2区の比較)が数字を使って表すことができ、駅伝好きの方々と情報共有したいと考えているからです。
さて本題の区間を越えた選手比較の方法をご紹介します。
今回は例として、第98回箱根駅伝1区区間賞の中央・吉居選手と2区区間賞の駒澤・田澤選手の比較をしていきます。
- 1.対象選手が走った区間の、持ちタイム(10000M)と区間タイムの平均値を出す。
- 2.対象選手の走行パフォーマンスを10000M換算で算出。
- 3.対象選手同士を比較する。
- 4.感想&走行パフォーマンス計算方法の課題
1.対象選手が走った区間の、持ちタイム(10000M)と区間タイムの平均値を出す。
今回は1区の吉居選手と2区の田澤選手を比較するので、1区と2区それぞれ全選手の持ちタイム(10000M)と区間タイムの平均値を出します。すると以下のようになります。
※10000mの持ちタイムが明らかに実力を反映していないと考えられる選手は補正しています。補正方法は今後ご紹介します。
1区
平均持ちタイム | 28:30.35 |
平均タイム | 1:02:12 |
2区
平均持ちタイム | 28:13.79 |
平均タイム | 1:08:06 |
全選手の持ちタイム(10000M)と区間タイムの平均値を出すことで、例えば1区であれば、持ちタイムが28:30.35の選手は1:02:12で1区を走ることができると言えます。
つまり1:02:12よりはやく駆け抜けた選手は、28:30.35以上の力を発揮しており、一方で1:02:12から遅れてしまった選手は、28:30.35以下の力を発揮しているということになります。
2.対象選手の走行パフォーマンスを10000M換算で算出。
次に吉居選手と田澤選手の走行パフォーマンスを10000M換算して、両者を比較できるようにします。計算方法は「対象選手の持ちタイム/区間の平均タイム/区間の平均持ちタイム」となります。では吉居選手と田澤選手の走行パフォーマンスを算出していきます。
吉居選手
持ちタイム・27:51.74←5000Mのタイムを10000M換算しています。
平均持ちタイム・28:30.35
平均区間タイム・1:02:12
走行パフォーマンス=27:51.74/28:30.35/1:02:12
=27:48.06
田澤選手
持ちタイム・27:23.44
平均持ちタイム・28:13.79
平均区間タイム・1:08:06
走行パフォーマンス=27:23.44/28:13.79/1:08:06
=27:26.79
3.対象選手同士を比較する。
それでは先ほど算出した走行パフォーマンスを比較すると、吉居選手が27:48.06、田澤選手が27:26.79となり、田澤選手のほうが高パフォーマンスをしたと言えます。
4.感想&走行パフォーマンス計算方法の課題
吉居選手と田澤選手を比較したところ、1区で区間新を出しMVPに輝いた吉居選手より田澤選手のほうがよいという結果になりました。
インパクトこそ吉居選手にかなわないかもしれませんが、田澤選手も東京国際・ヴィンセント選手をはじめ、各校のエースが集まる2区で区間2位に28秒つける区間賞だったので、この結果は納得できると個人的には思いました。
まだまだ走行パフォーマンス計算方法は、レース展開など細かい要素は考慮してなので、正確に計算できたとは言えません。あくまでもお楽しみ程度に見てください。
私自身、統計学を勉強しながら選手の実力を正確に反映できるような指標を作りたいと思っています。みなさまからも感想や計算方法についてアドバイスがございましたら、気軽にコメントお願いします!